バーr……blog のようなもの 2012 年 12 月

2012 年

12 月 30 日 ( 日 )

デモテープ 2 種

元アマチュア・ドラマーの私が経験した、スタジオで 1 曲仕上げるまでの流れを説明してみます。もちろんバンドもアマチュアです。

作曲者により、まず最初にデモテープがバンド・メンバー各人に配布されます。

このデモテープは 2 種類にわかれます。ひとつはデモテープの段階ですでに完成された作品になっており、デモ曲をコピーする以外ないタイプです。もうひとつは曲の骨子だけのデモであり、アレンジ等の肉付けはスタジオワークで詰めていくタイプのものです。

コピーする以外にない方の曲は、ひたすら練習です。ミスをしないようになるまで練習することが要求されます。アレンジ的にそれを超えるドラミングをできればいいのですが、オリジナルのアレンジが優れていた場合、それを超えるのはそうそうできるものでもないので、コピーに徹することになります。

ドラムは自宅で練習はできないので、このケースでは他のパートと比較して仕上げ面で不利になります。これをカバーするにはスタジオワークの合間のちょっとした時間を見つけて、難しいフレーズをひたすら練習することになります。

正直、練習中は、この曲のドラムは自分でなくてもいいんじゃないかと泣きが入ったりもするのですが、私がいたバンドはライブ・バンドでしたので自分が叩かないわけにはいかないのです。

このタイプはレコーディングだろうがライブだろうが、ミスしないようにとストレスがかかります。

もうひとつの曲の骨子のみ提示されたデモ曲は、さらにいろんなタイプにわかれます。

もっともシンプルなのはメトロノームの音にギターのコード弾きが重ねられているようなデモです。それだけだと準備のしようがないので、曲の構成と「ハードロック風」とか書かれたメモが添付されていたりします。このタイプのデモ曲の場合、テープを聴くくらいで、自分は他の準備をまったくしませんでした。スタジオでインプロヴァイズして、全体の曲想に合わせていくというアプローチを採っています。

一番多いのはリズムマシンにベースとギター、ボーカルをミックスしたデモです。作曲者の持つ曲想が他のメンバーにも伝わりやすく、とはいえアレンジの密度が低めに作られているので、他のメンバーのアイディアを盛り込みやすいという特徴があります。

いずれにせよ、このタイプの場合、皆それぞれ曲に対するアイディアを持ち寄って、スタジオで一度、エイヤっとあわせて、それを修正し、すりあわせていくことになります。

曲によっては作曲者から口頭で指示がでることもあります。たとえば「曲の 7 小節目と 8 小節目のこのバラララァズッチャーチャッチャッ というフレーズは、ジャニーズ風の決めのフレーズにして、全楽器ユニゾンで入れたい」というように指示されたりすることもあります。

そのように細部まで詰めていって、完成に持っていきます。

後者の方法で作られた曲は、デモの状態から想像もつかない異なった曲想に変化したりもするので、音楽のダイナミズムが感じられて、個人的には好きな作業手順でした。