Mr.Children に HANABI という曲がある。とある病院のデイケアでこの曲のコード譜を書く機会があったのでその思い出話のような何かを思いつくままにつらつらと書いてみたい。
私がとある病院のデイケアに通所していた頃、デイケアの別室に誰かがギターを置きっぱなしにしていて誰もがそのギターを自由に弾いていた。自分も時々気が向いた時に適当に 3 コードのブルース・コードに当ててアドリブを弾いたりもしていた。
ある年に OT 主催で院内音楽祭みたいなものが開かれることになった。それで時々ギターを鳴らしていた自分にも声がかかったのだけれど、ギターは自分がやりたいという女の子がいて、じゃぁ自分はドラム叩こうか?と応じたところそれで頼みたいということになった。鍵盤楽器とベースは女の子が探すと言うのでまかせることにした。自分がそのバンドっぽい何かをリードするつもりはさらさらなかったのでスタンスはあくまで雇われドラマーである。
まだメンバーも決まらぬうちから女の子はあれがしたいこれがしたいと色々言うのだけれど、院内音楽会での持ち時間は 1 グループ 10 分なのでせいぜい 2 曲が限度だろうしやりたい曲を 2 曲選んでと私は言った。私の趣味に他の若い子が合うはずもないので私が選曲するつもりはまったくなかった。
そして彼女からやりたいと返ってきたのが Mr.Children の HANABI だった。Mr.Children の名前は知ってはいたが聴いたことはなかった。譜面があるのかどうか尋ねたらないという。コピーとかできる?と訊いたらやったことがないという。譜面も書けないとのこと。仕方がないので楽曲の構成とコードを私がまとめることにした。
このときが初めてのミスチル体験となる。
HANABI を知っている人ならわかると思うが、この曲は構成もコード進行も転調を繰り返すなど凝った作りになっている。なので最初に紙に線をひいて楽曲の構成だけを書き留めて、次にそれにコードを書き加えた。もちろんギターでルート音を確認してコードを確認してだ。
1 時間もたたずにまとめ終えて女の子にそれを渡したところ、やっぱり演奏はやめると言う。1 時間もたたないうちにやめると言うのでなんでだろう?と思い、どうかしたの?と訊いたところ鍵盤を弾ける別の女の子に参加を断られたという。他の子を探したら?と言ったところ鍵盤もそうだけどベースもあてがないからやめると言う。
こちらとしてはやめても困ることはなにもないので、院内音楽会に向けての活動はそのまま終わることになった。コード譜を私に返そうとするのだけれど Mr.Children を自分が演奏する可能性はほぼ0だ。なので差し上げることにした。
いらないからあげる、と言ったところよくわからないリアクションが返ってきた。コード譜にサインをくれと言う。
意味がわからず、工業製品によくあるように自分がコード譜を書いたことを記録してトラブルに備えるためか?と思ったのだけどそういうことでもないらしく、結局よくわからないまま、コード譜にサインをするのは断った。意味ないし。今でもサインを求められた理由がわからない。
この女の子からのブッキングは立ち消えになったが、別のデイケアの青年からドラマーとしてオファーがあるが、そのことは以前書いているので省略。