バーr……blog のようなもの 2024 年 06 月

06 月 23 日 ( 日 )

カメラ市場消滅が現実的な件 Part 2

八百富写真機店高槻店の親父のこの X へのポストにムカついて何か書こうと思ったのが、元々の動機なのですよ。今の市場の状態でしかも当事者の 1 人が何戯言言っとんねんと。

自分は単なる 1 人の写真好き、カメラ好きにすぎんのですけど、まぁ昨今の写真機市場の状況に関してはいろいろ思うところがあるわけです。

それで現時点での写真機の出荷台数ってどうんなん?と思って久しぶりにCIPA 一般社団法人カメラ映像機器工業会 のデータを見に行ったわけです。2023 年の最終的な出荷台数と、2024 年に入ってからの出荷台数ってどうなったのかと。

グラフにすると以下のとおりです。

赤色 : フィルムカメラ総出荷数
青色 : デジタルカメラ総出荷数
(レンズ出荷数は含まない)

正直高槻店の親父の発言なんてどうでもよくなりました。それどころじゃないわと。

2022 年にこのままだと写真機市場が消滅しそうという日記を危機感を持って書きました。

2022 年の写真機の総出荷台数は 8012000 台です。そしてその翌年の 2023 年の写真機総出荷台数は 7721000 台です。そして今年 2024 年の 4 月までの写真機総出荷台数が 2273017 台です。仮に出荷台数を維持できると仮定した場合の 2024 年度総出荷台数予測値は 6819051 台となりデジタル移行後の最低出荷台数記録を更新します。

写真機総出荷台数のピークは 2010 年の 121463000 台になります。つまりわずか 14 年で新規カメラの市場はわずか 5.6% にまで縮小したことになります。

ちょっと余談気味にたった今、頭に浮かんだことを言います。この減少幅ですがスマホの登場だけで説明できますか?無理があるでしょ?

いいですか?耳をかっぽじってよく聞いてください。写真機はもう世の人々に必要なものではないそう思われてるんですよ。写真機?いらない子ですね。そう思われているのが現実なんです。

写真好き、カメラ好きには嫌な話をしますけど、写真機市場の市場規模は、すでに昭和の高度成長期の規模までに縮小していますし、2、3 年でそれ以前の市場規模まで縮小する可能性が非常に強いです。それから更に市場は縮小していき、遠からずもう市場と呼ぶのが難しい規模にまで縮小するでしょう。

残念ながら数字は正直です。評論家や評論家気取りの批評家より正直です。一部の我々のような道楽者を除いて、もう世の中の大半の人は写真機は日常に必要なものではないと考えてる以上、市場の消失は避けられません。

状況が厳しいのは市場規模だけではありません。

昭和の高度成長期前の頃は写真機は高嶺の花の高級品でしたが、生活が豊かに慣ればいつか手にしたいと思う憧れの対象でもありました。でも今は違います。繰り返しになりますが、写真機?なんでそんなものが生きてくのに必要なの?大半の人間の反応はこうです。

写真機で生活の豊かさを実感できる時期など何十年も前に過ぎ去ってしまいました。もう単体製品としての写真機は必要とされてません。それが現実です。

そんな今だから今写真機を所有している人はそれを大切にして欲しいです。新しい機種が幸運にもメーカーからリリースされたら、それが贔屓のブランドのものでなくても、欲しかった製品でなくても、欲しかったレンズでなくても、それを喜んであげて欲しいのです。

それは消えゆく線香花火の最後の瞬ききかもしれないのです。

今を生きる私達は、消えてゆこうとしている写真機というものの最期の看取りをしているのかもしれません。

カメラ市場消滅が現実的な件 Part 3

赤色 : フィルムカメラ総出荷数
青色 : デジタルカメラ総出荷数
(レンズ出荷数は含まない)

新しい機種が出るたびに、このスペックでは買う気が起きない、なにこのレンズのスペック?なんで大三元出揃わないの?なんでこのスペックのカメラがこんなに高いの!?カメラが在庫切れを起こすのはメーカーの出荷数を増やすのをサボってるからだ!!

まぁいろんな罵詈雑言ばかり聞こえてきます。

皆さんの気持ちもわかります。私も欲しいレンズはリリースされないし、新しいボディは高くて手が出ないし、欲しいカメラも正直高価すぎて手が出ません。

でもですね、皆さんに一つだけ訊きたいのですが、マーケットが上のグラフの赤丸の時期のお気持ちでものを言ってませんか?

リリースして売れるならメーカーもどんどん作るでしょう。どんどん作ってどんどん売れるなら、スケールメリットも生じて価格を下げることも可能になるでしょう。

でも今、カメラやレンズを大量に作って安くしたとして、それ、売れますか?カメラなんていらないって思ってる人たちに、頑張れば 2000 年代前半のように売れるようになりますか?

スマホだって、スマホで写真を撮ってる人ってどれだけいるんでしょうか?私の周囲でスマホで写真を撮る人すらまったく見かけませんけど。

売れないものを大量に作ればメーカーは不良在庫を大量に抱えてつぶれます。まぁそうなる前に親会社か銀行が介入して事業をやめさせるとは思いますけど。でもそのメーカーのカメラは確実にこの世から消えます。

市場在庫がほとんどないから小売に新機種が回ってこなくて商機を失っている。その怒りはわかります。でもそれはメーカーが増産したから解決するものではないことはちょっと考えればわかることですよね。違いますか?

もう一度グラフを見てください。今の市場規模は矢印が指しているところです。

八百富高槻店のご主人は市場自体の保水力とおっしゃってますが、それはグラフの赤丸の頃の話ですよね?今の矢印の市場にそれだけの保水力があると本気で思われているのでしょうか。

保水力とは在庫そのものですが、大量の不良在庫を維持できるメーカー、卸業者が存在すると本気で思ってらっしゃるのでしょうか?それとも高槻店さんで 1 機種の新機種を何万台も、しかも複数機種、在庫する覚悟がお有りなおのでしょうか?常識的に考えてそんなことは不可能ですよね?それともそんな不可能ごとを他社に押し付けたいのですか?

現実を見ましょう。もうカメラは昔のようには売れないのです。必要とされてないのです。プロカメラマン、写真家、ごく少数の我々のような道楽者にしか売れんのです。メーカーが要望を叶えたくてもそれがもうできないところまで来とるんです。

要望を出すのは悪くありません。それはニーズだからです。ニーズがわからないとメーカーは身動きが取れなくなります。

でも結果に過激な文言で文句を言うのはどうなのでしょうか。結果としてできなかったことが許せませんか?それでも実現しろと強弁しますか?その会社がこの世から永久に消えるとしても。

カメラが売れないのはニーズを満たしてないからですか?メーカーが顧客や卸、小売を無視してるからですか?違いますよね。単にカメラが世の中に必要とされてないからですよね?違いますか?

嫌われるのを承知でもう一度いいます。現実を見ましょう